(改装中)土の中からじっと見る

リニューアル予定です

その急な連絡は

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ブログ改装後の方向性はまだ悩んでいるけど、せめて2日に1度は更新するという目標を立ててみた。
今まではそういった目標が特になかったし。せっかくなので。

ただ、テーマが特に決まっていないのに固定のペースで必ず更新というのはなんだか難しそうだ。間を空けたくないのでこうしてキーボードに向かってみたんだけど、書くことを決めて書き始めた訳ではなく。
とりあえず今日は、日記と時候の記録を兼ねて天気の話でも書いておくかな。先週くらいから日本全域で長い雨が続いていて、東京も今朝からずっと雨です。


とカタカタ打ち込んでいたら、横に置いていたスマホの画面がパッと点灯した。LIINE通話がかかってきたのだ。
表示されている名前は地元の友人。
これにはちょっと驚いた。彼女はずっと仲の良い友人ではあるんだけど、二人ともLINEや電話を最低限しかしないタイプなのでお喋り目的のみの通話というのはやらない。

つまり急に通話がかかってくるということは、直接伝えたい大事な話かあるいは急ぎの用事だということ。
だとしても…今までなら先に「今日通話できる?」と確認して、空いてる時間を返信して、というのがお決まりだった。なんの前触れもなくいきなりかかってくるのは多分初めてのことだと思う。

これはよほどのことではないかと心配がよぎりつつ、通話に出るべく画面をスワイプさせた。

その瞬間、いきなり雨が強くなった。
東京も今朝からずっと雨だ。もともと降っていた雨が更に強くなった、ただそれだけのことなのに、物語によくある嫌な暗喩を連想してしまって胃のあたりがザワッとした。


「はいはい、もしもし?」
《もしもし? 聞こえる? 聞こえてる?》
「聞こえてるよー。どうしたの?」
まだ昼間だけど、今の本降りが始まって急に暗くなってしまった。電気をつけようとしたら、リモコンが部屋の向こう側のTVのところに置きっぱなしだ。仕方ないので立ち上がって、部屋入り口のところにある電気のスイッチを直接つけに行く。

雨音はザァザァなんて可愛いものではなく、屋根やベランダに叩きつけるようにガシャガシャ激しく響いていた。

《出られな縺》
「ん? 何?」


《出られない。襍、縺�Κ螻から》
「え」

うそ、と自分の喉から呻き声のようなものが出た。

友人の息遣いは荒く、ほとんど泣いているようだった。
「なんでか分かんないけどスマホだけ持っ縺ヲて、でも何人も繋がらなか縺」縺溘�。警察も繧ょョ溷ョカ繧ダメだっ縺」

私も動揺のあまり上手く呼吸ができていない。途切れ途切れに喘ぐように、まだ聞こえる彼女の声にすがるように言葉を絞り出した。
「そんな、じゃあ、この後もしアレが」
《そうだよ遲斐∴たらダメなんでしょ!? 蛻�°縺」てるよ!! でもどっちにしろ豁」隗」が分かんなかったら私》

彼女の言葉が不自然に途切れた。どうしたの、聞こえる!?と叫んだ直後


《ふふっ》


ギィィ、と金属を引っ掻くような強烈な音が、耳の奥に突き刺さった。


血の気がひいた。
思わずスマホを耳から離した瞬間、ぶつんと画面がブラックアウトした。通話が切れてしまった…のではない、電源ごと落ちている。

とても立っていられなくなりその場にへたり込む。そんな。だめだった。だめだった。



じゃあ、そしたら。



玄関でチャイムが鳴った。
雨音はザァザァなんて可愛いものではなく、屋根やベランダに叩きつけるようにガシャガシャ激しく響いていた。




               《了》


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※小説です。フィクションです
 暑い時期なのでホラー風味を。